美島豊明インタビュー The man behind Cornelius

コーネリアスの4thアルバム「POINT」

マスヤマ:「POINT」は、一番はじめの音が流れたときから、「FANTASMA」とは大きく違うじゃないですか。ミニマルだし、なんか聴いたことないようなリズムだし、ノイズも入っているし。そういう音になった背景は、何かあったんですか?

[CORNELIUS - Point Of View Point]

美島:「FANTASMA」が終わった後、リミックスの仕事がいっぱい来たんです。バッファロー・ドーターとか、マニー・マークとか。それで、録音を外のスタジオでやらなくても全部Pro Toolsで出来るようになったので、3Dのスタジオでやることになって。完全にPro Toolsベースになって、トラック数が増えたんです。「FANTASMA」の頃は8とか16トラックぐらいしか使えなかったけど、「POINT」で24とか48トラック使えるようになったんじゃなかったかな。

マスヤマ:その違いは大きいですよね。何か機材がどうのということよりも、ソフト側というかCPUというか、Pro Toolsのシステムとしての完成度が上がって閾値を越えた、と。

美島:3Dのスタジオでやることになって、マイクのセレクションとか、ヘッドアンプとか、モニター環境とか、電源まわりとか、いろいろ調べました。アースは全部取って機材は全部117ボルトで動かしたかったんで、ステップアップのトランスをかませてやってましたね。今はもうユニバーサル電源になって、大抵100から240ボルトもOKなんだけど、その頃はまだ、外国製品は117か240ボルトで動かすっていう仕様だったと思うんですよ。それで、外に行かないで録音するようになって「POINT」が始まったって感じですね。

[CORNELIUS - I Hate Hate]

マスヤマ:以前美島さんが、DAWソフトウェアを使うことで、ビジュアル的に音の配置が見えるようになって、縦のリズムを合わせるんじゃなくて、ちょっとずらしはじめた。。。とか話してましたが、それはこの頃からですか?

美島:そのへんを追求しはじめたのは「POINT」より、ちょっと後になるかもしれない。

マスヤマ:でも、「POINT」で結構ずらしてますよね。

美島:ずらしてますね、うん。その傾向は少しあるのかな。

マスヤマ:そのキッカケは何だったですか?

美島:そのキッカケは、リミックスをやってる時に、何かの音を入れたんだけど「埋もれるね。」っていう話をして、「何だろうね、これ。ちょっとずらしてみよう。」って。で、ずらしてみたら、そこの音だけ、すごくよく聴こえるようになって。ジェイムス・ブラウンのリミックスをやってる時だったかな。「そこだけ音を抜けば、目立つんだ。」っていうことに気がついて。そこから、ずらすっていうのを色々やっていった気がするな。

マスヤマ:そのことは美島さん的に大きな発見だったんですか?それとも、テクニックのひとつみたいな感じですか?

美島:全くずらすっていうのは大きな発見だった。エンジニア的なテクニックとしては、帯域がぶつかるようなところは当たらないようにするというやり方なんかはあるんですが、全く音を抜いてみるっていうのは、ちょっと面白かった(笑)。。。あと、アルバムの締め切りがなかったっていうのが。。。

マスヤマ:あははは(笑)時間に余裕があったので、プリプロ的な作り方もかなり変わったということですよね?

美島:変わりましたね。「FANTASMA」の頃はいろんな人が入って、いろんなところに行ったりして、日々の状況が変わるからなんとなく覚えてたりするんだけど、毎日のルーティンワークになってしまって、しかも二人だから、昨日と一昨日の違いはよく分からないみたいな事になってきて。楽しみはご飯しかない(笑)

マスヤマ:あははは(笑)

美島:で、丁度デジカメを手に入れて、じゃ、ご飯でも撮るかっていう時期だったと思うんだよな(笑)この頃はコーネリアスのホームページに、ご飯日記をあげていたような気がする。

gohan-mixi2
[mixi時代のご飯日記のスクリーンショット。]

マスヤマ:ふふふ(笑)ご飯日記、今もやってるんですか?

美島:うん、Tumblrに上がってますよ。小山田くんと作業した日は必ず上げてるようにしてます。バッと食べて、バッと戻るんですよ。(笑)俺も速いけど、小山田くんも速いんだ。

マスヤマ:作りながら食べるってことないんですか?例えば、サンドイッチとかだったら、手もよごれないし。

美島:ああ、それはない。そこまでは切羽詰まってないから(笑)毎日同じ時間に行って、同じ時間に帰るっていう。

マスヤマ:逆にサラリーマン的な。

美島:うん。それが始まったのが、このあたりからですね。

2001年に発売された4枚目のアルバム「POINT」。前作に続き、アメリカ盤はマタドールからリリース。
2014-07-27 | Posted in | Comments Closed