美島豊明インタビュー The man behind Cornelius

「FANTASMA」全曲解説

今回はCORNELIUSの3枚目のアルバム「FANTASMA」収録楽曲の全曲解説をお届けします!

初回限定盤は特殊パッケージに特製イヤフォン付きという形で1997年にリリースされた「FANTASMA」。

現在iTunesで手に入る音源は、元・電気グルーヴの砂原良徳の手によるリマスタリングが施されたリイシュー版。オリジナルアルバムに収録されていた13曲に加えて、アルバムのみのボーナストラックが2曲入っています。

<1:MIC CHECK>美島:「MIC CHECK」は、あれですよ、藤原さんのダミーヘッドマイク。録音するのが大変だった。ダミーマイクをコンピュータとかマルチトラックレコーダとか48で録ろうと思ったら、マイクがすごく特殊だから、そういう風にやるとうまく録れないんですよね。だから、DATウォークマンにミニピンケーブルでマイク繋いで録ったのが、一番よかったんで、DATウォークマンで録ったのを覚えていますね。

マスヤマ:それはたまたま小山田さんが趣味的に面白いと思って、みたいな?

美島:その辺は、僕ちょっとよくわかんないんだけど、そうだと思いますよ。小山田くんが見つけてきた。「コレ、やりたい!」って言って、急に持って来た。

マスヤマ:ライブでやっているのが、僕はおかしかったですよ。

美島:「聴こえますか?聴こえますか?」から、始まりますからねw

マスヤマ:本番でチェック出来る、みたいな(笑)。

<2:THE MICRO DISNEYCAL WORLD TOUR>マスヤマ:これは、結構このアルバム全体のシンボリックな曲ですか?

美島:そうですね。タイトルで悩んでいたのを、ちょっと思い出したな。Disneyっていう言葉をそのまま使いたかったような気がするんだよね〜。もちろん使えないので、DISNEYCALになりました。

マスヤマ:前に小山田さんがフレーズを口ずさんだりギターを弾いたりして曲ができていく、っていうのを聞いたんですけど、この頃はどうだったんですか?この曲結構複雑じゃないですか。

美島:うーん、どうやってやったか、覚えていないんですよね。あ、でもね、ストリングスの譜面を書いたのは覚えているな。あと、シンセはミニムーグを使っていて、ミニムーグってMIDIが付いてないから、CVに変換する機械でやってた。それで、ムーグって結構日にち経つと音が変わっちゃうから、音を作ったらすぐ録ってたかな〜。フィルタの感じとかが、やってるうちに少しずつ変わってきちゃって。

<3:NEW MUSIC MACHINE>美島:これね、ドラムが小山田くんじゃないかな?小山田くんが叩いたドラムを、編集して作り直したような気が。。。

マスヤマ:どのくらい叩くんですか?ちゃんと一曲叩くんですか?

美島:一曲叩いたような気がします。

マスヤマ:結構、音重ねてますよね。

美島:重ねてますね。「入れられるだけ入れてみる」っていうのが、テーマだったりしたから。その時の録音のテクノロジーを限界まで使ってみようっていう。

<4:CLASH>マスヤマ:これはミック・ジョーンズとか、そういうところから来ているんですか?

美島:ああ、ですかね。元のイメージが俺よくわからないんだけど。

マスヤマ:この曲なんか、本当に今の感じに結構近いですよね。そのシンプルな感じとか。

美島:ああ。でも途中でガーとうるさくなるところ(笑)。

マスヤマ:これが、このアルバムの特徴ですよね。

美島:そうですね。デカい音と小さい音との差をデカくしようと言ってたんですね。思い出した(笑)。

マスヤマ:この曲も、コード少ないですよね。『STAR FRUITS SURF RIDER』なんか、コード二つですものね。それが僕は凄いな、と思いますよ。なんていうかな、思い切りが。

<5:COUNT FIVE OR SIX>美島:あ、これはレコードのスクラッチです。小山田くんがレコード回して、ギャーってやって、スクラッチを録りました。これもマックで録ったやつを、一個ずつ全部貼っていった。サンプラーだと、人の言葉をジャストで鳴らすと、遅れて聞こえてくるんですよ。だから、Pro Toolsで貼っていってピッタリ合うのが出来て、何て楽チンなんだって思いました(笑)
今までは全部その場その場で、聴いてあわせていたんだけど、目で見てピッタリ言葉を置いていけば、こんだけジャストに喋ってくれるんだ!っていう。

マスヤマ:そういう意味では、単に便利になったというか、やり方がビジュアル的に変わりましたよね。今も同時に音を出さないっていうのは、DAWで見ているから、思いついたのかなって思うんですけど。。。

美島:そうですよ(キッパリ)。

マスヤマ:そうですよね。「コレ、別々に置いたら。。。」みたいな。

美島:うんうん。「あ、よく聴こえるようになる!」っていう。

<6:MONKEY>マスヤマ:曲の最初の楽器は何ですか?リズムボックスと。。。?

美島:これ、グロッケンシュピール。リズムは、リズムボックスの音源で作ったリズムパターンですね。「69/96」の時の作り方っぽいって言えば、それっぽい。ただ、インストだっていうのが、また(笑)。

マスヤマ:うーん。こういうのが、才能あるっていう感じしちゃいますよね。こういうのは、ギター小僧は出来ないじゃないですか。こういう曲って。

美島:でも、これも、ライブでギターで弾いてるっていうのが(笑)。

マスヤマ:これは何かモンキーっぽい曲を入れたかったんですかね?

美島:入れたかったんじゃないですか(笑)。

マスヤマ:「猿の惑星」が好きなんですね、要はね(笑)。

美島:好きだったんじゃないですか。コーネリアスっていう名前からして。

<7:STAR FRUITS SURF RIDER>美島:この曲、凄い音数が多くなっちゃって、結局ヨンパチ2台をシンクロさせたんです。青葉台スタジオのフェーダーの数が足りなくなって、空いていた隣のスタジオのフェーダーも使って、そこからリンクして、って(笑)。ヨンパチ2台をシンクさせて、合計で96チャンネルのフェーダーを立ち上げるっていうことを、とにかく、やってみたかったんですよ(笑)。

マスヤマ:(笑)なんで、そんなに音が多いんですか?

美島:わかんないです。どこがそんなに音が一杯になっちゃったんだろう?使いたかったんですよ。ヨンパチ2台(笑)。

マスヤマ:無理矢理(笑)?

美島:どうなるか、やってみたかった(笑)。しかし、なんでヨンパチ2台使ったんだろうなぁ。聴けば、聴くほど わからない(笑)。

<8:CHAPTER 8 〜Seashore And Horizon〜>美島:この曲は、ロバート・シュナイダーと小山田くんが二人で作ってきた。丁度、日本に友達が来ているから、「一緒になんか作ろうか?」って言って、アコギと歌でデモが出来ていて。それで、録ろうかという話になって、スタジオで「どうやってやろうか?」って。

マスヤマ:じゃ、これはわりと伝統的なレコーディングって感じ?

美島:そうそう、普通のレコーディングだったような気がする。

マスヤマ;このピッチが変わる部分はロジック上で編集したんですか?

美島:タカヤマくん(高山 徹:フリッパーズギターからコーネリアスまでミックスを担当しているレコーディングエンジニア)がテープを手で止めてやった時もあったし、ロジック上でピッチを下げたかもしれない。ちょっと、これは覚えてないな。。。

<9:FREE FALL>美島:これはギターで、イーボウで確かやったと思います。弦のところにあてると、磁気でフィードバックする。

マスヤマ:ああ、大友さんとかが、使っているものですね。ギターソロみたいなのは、この頃から全く弾いてないですね。

美島:イーボウのところはギターソロとか言っていたような気がするけど(笑)。段々とテンポとトーンが下がってくるところは、タカヤマくんが手でやってるんです。

マスヤマ:手ですよね。機械、悪くなりそう。

<10:2010>美島:これは、何かクラシックの曲をやりたいって言って、「じゃあ、バッハだ!」って。それで、譜面をヤマハ渋谷店に僕が買いに行って、譜面からおこした曲ですね。

マスヤマ:アタマの「マエストロ・プリーズ」のところは、後から付けた?

美島:そうですね。拍手も後からですね。譜面どおりに全部打ち込んで鳴らして、「じゃ、速くしてみよう」とか「ドラム入れてみて」といった感じで。

マスヤマ:今から考えると、インストの曲が多いですよね。だから、映像っぽい感じがする。今では考えられない音数の多さですよ。

<11:GOD ONLY KNOWS>マスヤマ:掃除機みたいな音はどうやったんですか?

美島:これね、レコードプレーヤーの音なんです。どこかのリゾートスタジオに行ったときに、「レコードプレイヤーないですか?」と言ったら、物凄く古いのしかなくて、それにレコードを乗せて再生したら、立ち上がりが遅くて、ゴォーンって上がって行った音なんです。
確かDenonのプレーヤーかな。ターンテーブルを重くすれば重くするほど、立ち上がったときに安定するじゃないですか。それで、そのDenonのヤツの立ち上がりがものすごく遅くて。小山田くんもテクニクスのつもりで、針乗せてポンと押したら、ゴォーッって(笑)。

マスヤマ:あははは(大爆笑)。「それ、面白い!」と(笑)。

美島:「これ、ちょっと面白いから使おう!」って(笑)。最初のカツンって音は後から足した音なんだけど。グオーンって上がっている音はサンプリング。偶然なんですよ、これも。

マスヤマ:この曲のドラムは?

美島:これも小山田くんですね。

マスヤマ:叩きたかったんですね(笑)。それにつきますよね、モチベーション。

美島:理由はやりたかっただけっていう(笑)。評論家の人とかさ、「なんかテクノロジーのなんとかの。。。」って理由を聞きたがるんだけど、いや、ただやりたかっただけなんですよっていうの、結構あるから。(笑)。

マスヤマ:まあ、子供のいたずら心みたいなものです。

美島:そう。基本、子供のいたずらですからね(笑)。言葉で説明しちゃうと、つまんなくなっちゃう。やりたかっただけなんです。

<12:THANK YOU FOR THE MUSIC>マスヤマ:この曲のバンジョーは、クレジットにはショーン・オヘイガン(Microdisney、ハイラマズのメンバー)とありますね。

美島:これは何かのファイルから、持ってきたはず。。。何かの曲をリミックスして送られてきたものの中に入っていたパラのファイルだったような気がするな。
クレジットがさ、岡一郎は、「岡一郎」になってるの。

マスヤマ:ああ。岡一郎という役割だった(笑)。美島さんは「マニュピレーション&キーボード」になってますね。今は「プログラミング」ですか?

美島:ですね。

<13:FANTASMA>マスヤマ:これは、どうやって録ってるんですか?

美島:いや、これ普通に小山田くんが一人で、アカペラですね。一応、プリプロのときに、こういう風にしたいって、メロとハモを決めておいて。それでスタジオに行って、なぞってるだけですね。

マスヤマ:かなりフィードバックとかエコーとかかかっていますよね。アフロっぽい感じですよね。

美島:あ、これ、最後に延ばしたの大変だったの、今思い出した。これ、自分で歌ってるわけじゃなくて、後から延ばしているんですよ。いかにつなぎ目がわからないように延ばすかっていうのが、大変だったんです。

2014-05-28 | Posted in | Comments Closed