マスヤマコム Masuyama Com

ファイブイヤーズ・ラジオから

2014年5月6日に配信したファイブイヤーズ・ラジオ10回目、Miki Oriharaさんをゲストにお迎えした内容をお届けします。

5 Years Radio 010_140516 by 5 Years Radio on Mixcloud

○Masu:
mishmash*プレゼンツ『5years radio』。
○Aimee:
こんにちは。ニューヨーク大学大学院生の磯部映見です。
○Masu:
コンテンツプロデューサーマスヤマコムです。
○Aimee:
今日はスペシャルゲストにお越しいただいてます。
○Masu:
超スペシャル!
○Aimee:
ニューヨークにあるダンスカンパニー「マーサ・グラハム」のプリンシパル・ダンサーMikiOrihara(折原美樹)さんにお越しいただきました。
○Miki:
よろしくお願いします。

○Masu:
今日は、ニューヨークの某所にある Miki さんのご自宅にお邪魔して。外では、とてもニューヨーク的な消防車のサイレンとかが聞こえつつ w。
○Miki:
ハッハ、ここはヘルズ・キッチンといわれるエリアで。
○Masu:
ブロードウェイのミュージカルをやってるところのちょっとウエスト(west)ですよね。つい数日前ですが、Miki さんのソロコンサートの初日に行った後、映見さんと私とで大感激して、このラジオ番組でも興奮してしゃべってしまいましたけど。
○Aimee:
もう本当に。
○Masu:
Miki さんは、その最終日を昨日終えたばっかりという。
○Miki:
はい(軽くため息)。
○Masu:
お疲れさまでした。私はエクゼクティブ・プロデューサーとして手伝わせてもらっていて、ある程度状況は知ってるんですけれど、まずは、昨日終えた直後ということで、いかがですか。
○Miki:
もう、あ、終わってしまったっていう。ここに至るまでの長い道のりが、あ、もう終わってしまったのかなっていうなんかすごく残念でもあるし、なおかつ。
○Masu:
ほっとした。
○Miki:
あ、ほっとした。けがをしなくてよかったっていう。
○Masu:
それは、大きいですよね。
○Miki:
ええ、うん。一人で踊るので、やはりけがをするとカバーがない。
○Aimee:
ですよね。
○Miki:
で、今回、初めてのソロ公演だったので、かなりのプレッシャーも感じていたし、けがだけはちょっともう絶対したくない。
○Masu:
木曜日、金曜日、土曜日、日曜日と4日間も一人で踊られて。そして幕間というか、ダンスの間の衣装チェンジの間に、大江千里さんがいい感じのコンテンポラリーのピアノをはだしで弾いてね。
○Aimee:
素敵でした。
○Miki:
はい、はだしで。
○Masu:
「ダンサーはだしだから、俺もリスペクトしてはだしになったんだよ」とかって言ってましたけど w。
○Aimee:
あ、そういうことだったんですね。素晴らしい。
○Masu:
で、コンテンポラリーダンス、私もそんなに詳しいわけじゃないですけど、まず、マーサ・グラハムさんっていう方のことを Miki さんから簡単にご紹介いただけますか。
○Miki:
はい。マーサ・グラハムは、日本でもおそらくダンスをやられてる人は知ってる方も多いと思うんですけれども、一応「モダンダンスの母」といわれてる人で。一番古い順番でいくとイサドラ・ダンカン。その次にセント・デニスっていう人がいるんですけど、まあそこらへんが神様みたいな。で、母っていうのがグラハム。1890 年代に生まれてて、まあヴォードヴィルとかをやって…。
○Masu:
ああ、そういう大衆的なものを最初やってたんですね。
○Miki:
初めは。
○Masu:
まあでないと食えないですからね。コンテンポラリーといわれるのダンスの世界が無かったわけで。
○Miki:
そうそう。で、それをやめて自分の踊りをやり始めた人で、そうですね。
○Masu:
「コンテンポラリー」ダンスって日本語でいうと「今の時代」のダンスっていうことで、「モダン」ダンスは「近代の」ですか、日本語でいうと。そこは、分かりにくいんで追求する気はないんですけど、一般的にいうと「コンテンポラリー」アート、「現代」美術と対比すると、ある程度分かるのかなと思うんですけど。
○Miki:
ああ、そうですね。
○Masu:
コンテンポラリーアートって、例えば写真の発明によって写実的に絵を描くことの意味が大きく変わって、印象派が出てきたりとか抽象画が出てきたりとか、そういう理解をすると、だから 19 世紀までの絵と違うのねと、という話はわかりやすいと思います。では、それまでのダンスとコンテンポラリーあるいはモダンダンスってどう違うんでしょう。なんかちょっと Miki さん渋い顔してますけど w。
○Miki:
そう、渋い顔をしてるのは何でかっていうと、マーサ・グラハムという人は自分の踊りがモダンダンスとは言ったことがまずない。彼女の学校はもう「Martha Graham School of Contemporary Dance」といいます。いろんな技術開発がありますよね、たとえば生地…。
○Masu:
生地?
○Miki:
洋服の生地。昔はウールですね。ウールだと伸び縮みがある。60 年代、70 年代になってライクラっていうものができて、やっぱりナイロンの伸びる生地ができて、まあそういうものを衣装に使ったりとかで、本当にその時期その時期に出てきたものをグラハムも本当に取り入れてやって、もう死ぬまでずーっとそういう意味ではコンテンポラリーだった人だと思うんです。
○Aimee:
ああ、こだわりがあったんですね。
○Miki:
うん。で、でも、モダンダンスというふうに例えばそのカテゴリーをつけたのはおそらく彼女じゃなくて外の人。
○Masu:
やっぱり何ていうかな 19世紀から 20世紀はすごく時代が変わった、人間社会全部が変わったみたいなとこがあるので、やっぱりモダンっていう新しい時代に入ったっていうので音楽も変わり、美術も変わり、当然ダンスも変わったっていうことだと思うんですけど、でも、その中で、マーサ・グラハムさんは私のやってるのは「近代」というよりは「今の時代」のものなんだっていうことを意識したっていうことですよね。
○Miki:
そうですね、うん。
○Masu:
前回のラジオでも分からないなりに説明したんですけど、今回の「Resonance」、日本語でいうと「共鳴」、「共に鳴る」というコンサートのコンセプトを教えてください。
○Miki:
それはもう名前が「共鳴」という言葉どおり、全てのものが1つに鳴っている、関わってるという意味を持ってるんですけど、私がグラハムのとこにいるからなのでしょうけれども、マーサ・グラハムという人がいろんな社会現象っていうものに対して自分の思ってることを踊りにしてったわけです。
特に女性の視点から見たものを踊りにした。例えばギリシャ神話でも、普通は男の人の目から見たものなんだけれども、グラハムは、そうではなくて、女性のクリュタイムネーストラーならクリュタイムネーストラー、それから、オイディプス王の話もお母さんであるイオカステの目から見た踊りにしてったって。
で、っていったら、私も自分が女性だし、私が見えてるものっていうものを表現するにはどうしたいってずっと考えたときに、今までやってきたこと、要するにニューヨークに来て踊りを勉強してどういう踊りを勉強してきたかっていうこと、それから、それが今につながってるっていうことをまあ一人で踊るのでもう 20 も 30 も踊りたい踊りがいっぱいあるんですけど、そんなことしたら死んでしまう。
○Masu:
物理的にできない。
○Miki:
うん。死んでしまうので、本当5つしかできなくてちょっと残念は残念なんですけど、でも、これ1回ではなくて、ちょっとシリーズで今までちょっと踊りたかったものを踊るシリーズにしていかれたらいいなと思って、で、まず初めは、まあラ・ママというとても有名な老舗の劇場があって、そこで、私は、1981 年に大野一雄さんの公演を見に行って、ああ、こんな劇場があるんだなあって、ああ、こんなところで踊れたらいいなって思った思いもあったような気がする。
でも、本当にラ・ママで自分の作品で踊ることができるっていうのは、もう本当自分にとってのもうなんか光栄でしょうがないんですけれどね。で、今までやってきたグラハムのテクニックを勉強したこと、それから、リモンのテクニックも若いダンサーのときにちょっと勉強してたんでそれもやりたい。で、そういうものがあって今の自分があるっていうものを垣間見れるようなプログラミングにしたいと思って今回の5つの作品を選んだんですけど。
○Masu:
まあ前も説明しましたけど、5つのピースの中で 1930 年代から 70 年代っていうふうにきて、Miki さん自身の振り付けの今の新作、それから、僕らと一緒にミュージック4ビデオをやってくれている Adam の新作ということで、まあ 100 年とはいわないけど、コンテンポラリーダンス、80 年の流れをまあピンポイントでちょっとずつっていう。
○Miki:
うん。っていう5つの作品がおそらく5つ全く違うタイプの踊りだったと思うんですよ。
○Aimee:
そうですね。
○Miki:
うん。で、それも見てもらいたいと思ったので。で、なぜ私が踊らなくてはいけないのかっていうと、そこに私がもうアメリカ来て今年で 35 年目になるんですけど、まあ年を取ったダンサーっていう言い方は自分にとってはなんかちょっとめげてしまうんですけど、いろんなことをやってきているダンサー、それから、グラハムはグラハムで 27 年目になりますけど、その1つのことをずっとやってきたけれども、ダンサーとしてはいろんなものを踊りたいって思うのは当然のことで、で、グラハムにいるときはもちろんカンパニーの作品を踊ることは踊りますけれども、時間があればほかの人の作品も踊りたい。で、今回はそれがものすごく時間的にも可能だったし。
○Masu:
いやあ、なんかまあ僕も僕なりに見ていろいろ考えたんですけど、もちろん歴史的にコンテクストというか文脈、流れを見れて面白かったというのもあるけど、やっぱ今こうやって話を聞くと、いや Miki さん自身がやってきたことの何十年間とそれからコンテンポラリーダンスの何十年間とをそれをやっぱり重ね合わせてるとかっていうのはやっぱ感じられて、まああと、やっぱ世の中とアート表現の関係みたいなこともとっても興味あって、例えば世の中が技術が発達して工場とかができてくると都市化して、都市化が進んでうるさくなると楽器がたくさんあるようなオーケストラでないとみんな満足しないとかね、弦楽四重奏じゃなくてね。
それはやっぱ世の中とアート表現って密接に常に関係あるもんだから、そうやって言われてみると今ますますなんか見てて面白かった、見たことが面白く感じられますね。だから、さっきの布の話をしてましたけど、それもやっぱり当時の先端的なテクノロジーを使ってたっていうことですよね。
○Miki:
うん、そうですね。
○Aimee:
はい、では、ここで曲を1曲かけたいと思います。 Miki さんの「ニューヨーク」と聞いて思い浮かぶ1曲を教えてください。
○Miki:
ジャニス・イアンの『At Seventeen』。
○Masu:
それは何で。
○Miki:
こちらに来たときに。
○Masu:
それが 1979 年。
○Miki:
79 年にこちらに来たときに、2枚アルバムを買って。
○Masu:
19 歳ですよね、Miki さんね。
○Miki:
はい。まだ 18 だったんですけど、そのときに2枚アルバムを買って、それをずーっともう聞いて、アルバムを見ながら英語を読みながら一緒に歌ってまあちょっと英語を勉強したって自分の中では思ってるんですけれど、それがこの曲がそのうちの一つです。
○Aimee:
はい。
○Masu:
じゃあ、ちょっと曲紹介を Miki さん自身がしてもらえますか。
○Aimee:
お願いします。
○Miki:
はい。ジャニス・イアンの『At Seventeen』。
(曲)
(曲)
○Masu:
だんだん現場的なというか1個1個の話になりますけど、Miki さん自身の振り付けの作品では、映像を使うっていうアイデアはどこから。
○Miki:
それはもう私の頭の中でずーっとあったことで、うーん、映像の中の自分がおそらくそのときにそこにいる自分で、踊ってる自分は自分ではないっていうイメージがあって、それで。
○Masu:
それ日常生活と非日常みたいなそんな単純なことではない。
○Miki:
ううん、それというよりは、うーん、舞台の上で動いてるのはイリュージョンで、そこに座ってるのが私っていうふうに見えてたらいいなとちょっと思ってたんですけどね。で、実際に今度自分がスクリーンの前に椅子がきて、自分が座ったときに自分になるっていうのかしら。
○Aimee:
うんうんうん、一体化してましたね。
○Masu:
いやあ、なんか僕は現代美術と一緒で深読みすることが楽しいんでやりますけど、僕、逆だと思っていて、椅子っていうのは日常生活の象徴、それがあって、要するに映像の中の Miki さんっていうのは生活なんだけど、途中で消えてくじゃないですか、椅子も最後消えちゃうじゃないですか。
○Miki:
そうなんですよね。
○Masu:
だから、そっちのほうはイリュージョンで、踊ってるこっちが現実の私。そんなにだから踊りっぽい動きもしないじゃないですか。
○Miki:
ほとんどなかったです。
○Masu:
むしろ生活の中の動きみたいな。
○Miki:
はい。
○Masu:
だから、ああ、こっちが現実で、映像の中がイリュージョンで、だから映像の前に座ってまあすごく●サトル(subtle)●な動きをやると映像のほうは消えてって現実の私はここにいるみたいなそういう解釈を勝手にしてたんです。まあ表と裏。
○Miki:
あ、でも、もちろんそれでもうれしいです。本当はもうちょっと2つぐらい椅子を天井からつるしたかったんですけど。私の中では、椅子っていうものがものすごく昔からちょっと踊りをつくったりするときに必ず椅子を使う、なんか何かあるんですね。
で、今回使った椅子は、一つはこういうここに隣に今ある椅子なんですけど。
○Aimee:
ああ、そうなんだ。
○Masu:
あ、これ持ってったんだ。
○Miki:
これを持ってった。映像の中の椅子もこれだし。
○Masu:
ああ、ああ。あれはどこで撮ったんですか、撮影は。
○Miki:
うちです。
○Masu:
ここなんだ。
○Miki:
アパートで撮りました。
○Aimee:
ああ、そうなんですね。
○Miki:
大変だったですけど。荷物を全部を動かしてね。
○Aimee:
うーん、そうですよね。
○Miki:
狭いとこだから。それで、この椅子は、マーサ・グラハムの今の稽古場ではなくて私がこちらに来たときに稽古場があったところ、63 丁目のセカンド・アヴェニューだったんですけど、そこの稽古場にあった椅子をビルを売ってしまってもう最後っていう日の前の日にこの椅子をもらってきました。
○Masu:
ギリギリのとこで。
○Miki:
だから、かなり古い椅子で、昔からこの椅子を使って絶対何かしたいっていう頭があって、で、今回。で、本当は2つぐらい宙にこういうふうに浮かんでいると、3つの椅子っていうんではなくて、椅子がもっと。
○Aimee:
空間に。
○Miki:
うん。空間にもあるし、床にもあって、で、全然使わない椅子ももう一つあってっていう頭があって、本当は全部で5つ、床に5つ、それから2つか3つそらにって頭があったんですけど、飛ばすことがちょっと、うーん、あそこでは無理。
○Aimee:
うーん、ちょっとそうですね。
○Miki:
うん。だったので、3つに絞ったんです。
○Aimee:
うーん。
○Masu:
はい、というところで、もうすっかり 16分ぐらいに達してしまって、ちょっとまあ前半戦ということで。
○Miki:
ハッハッハッ、すみません。
○Aimee:
いえいえいえ。
○Masu:
はい、ということで、この番組、『5 years radio』、普通は 15 分ぐらいで終わらせるつもりでつくってるんですけど、とってもとっても 15 分で Miki さんのお話を聞ききれない面白い話なので、ちょっと後半戦も続けて収録していきたいと思います。いったんでもここで終わりますね。
○Aimee:
はい。
○Masu:
コンテンツプロデューサー マスヤマコムでした。
○Aimee:
Aimee 映見でした。
○Miki:
MikiMiki でした。
○Masu:
ありがとうございます。
2014-05-29 | Posted in | Comments Closed